性的描写が入っているかもしれませんし、入っていないかもしれません。苦手な方はご遠慮ください。
待ちに待ったキャンプ!夜は最高の3人でバンガローに宿泊
親友のマーちゃんと、漫画やアニメの話でよく盛り上がっていたエミッチと同じバンガロー。
最高の班!!楽しすぎる!!キャンプ最高!!カレーも美味い!
夏といっても山なので夜はだいぶ冷える。私たち3人は川の字になり、毛布に包まり眠りにつく。マーちゃんは横になるなり寝息を立て始めた。
「もう寝てるよ〜w」
「早!!w」
楽しすぎて全然眠くない。
たわいもない話をしていたが、だんだんとエミッチの様子がおかしくなってきた。
「あたしさぁ〜、眠くなるとさ〜、話し方がエロくなるって言われるんだよね〜。」
気だるい遊女のような感じで、エミッチが私に話しかける。
(え、どうした??)
「こゆきちゃんってさ〜可愛いよね〜。可愛いし面白いし最高っ。私が男だったら確実に彼女にしてるよ〜。」
(褒めてくれて・・・る・・・??)
「そ、そう?ありがとう。」
(ちょっと待って何が起こっている、何のスイッチが入ったらそんなことになるんだ!?)
「私のこと、好き?」
(へ!?)
「私のこと、好き?????」
もちろん好きだよ、もちろん。しかしあなたの問いは、私が思っているものとイコールではない・・・のか?
「え、うん、好きだよ。楽しいし。」
よく分からんけど、動揺がバレないように、平静を装って、そう返事をした。友人として好きなことには変わりない。
「じゃあさ、キスしてよ。」
!?
「好きならキスして。」
頭がフリーズしてしまった。キスって、あのキス?唇のやつ?
あれ、女の子同士って、キスするんだっけ?
エミッチと磁石と私、と寝てるマーちゃん
そんなの絶対無理だ。絶対にできない。
女子同士で手を繋ぐのだって抵抗あるのに。
ジュースの回し飲みだって絶対に嫌。
トイレだって一人で行きたいタイプですよ?
でも・・・
エミッチは大切な友達だし・・・
して欲しいっていうなら、頑張ってみよう・・・
「わかった。」
と返事をすると、エミッチは仰向けになり、静かに目を瞑った。(瞑ってんじゃねーよ)
私はエミッチの頭を挟むように手をついて、ゆっくりと顔を近づけていく。
しかし・・・
どうしても、どーーーうしても、あと10cmのあたりから近づくことができない。
まるで磁石のS極とS極のような・・・N極とN極のような・・・
見えない反発力が生じて、どーーーーしてもできなかった。努力は、した。
「エミッチ、ごめん・・・やっぱできない。」
申し訳なくエミッチに伝え、自分の布団に戻る。すると、
「こゆきちゃんの嘘つき!!!してくれるって言ったじゃん!!!」
ごめん、見えない力であれ以上近づけなかった・・・。
「もういい、」
ごめん・・・
「私がする。」
え!?どういう・・と思ったのも束の間、エミッチは私の顔のどこかにチュッとしてきた。
「おやすみ。」
そうしてエミッチは眠りについた。突然現れたゲリラは瞬きする間に去っていった。
私は泣きそうになっていた。
どこにされたかは、あまりにも衝撃的な記憶ゆえ、脳が消去したようで全く思い出せない。頬だったかもしれないし、おでこだったかもしれないし、もしかしたら唇だったかも・・・
こんな大変な状況の中、ぐっすり眠っているマーちゃんが、心底憎かった。
朝起きたら全てリセットされていればよかったのに
翌日、エミッチの顔を見ることができず、どう話をしたらいいかも分からなくなってしまった。側から見たら、私がエミッチを避けているように見えたと思う。
「えーなんかこゆきちゃんが冷たい。」
私に聞こえるようにエミッチがそう呟いた。
私、どうしたらよかったの?頑張ったけど、できなかったよ。してあげられるものならしてあげたかったけど、できなかったよ。。
「ねぇ、マーちゃん、昨日大変だったんだよ!?何で寝ちゃったんだよ!!」
「え、そんなことあったなんて全っ然気づかなかった。え、大丈夫?え?」
このショッキングでピュア?な出来事は、大学入学後、『女性学』という講義を受けるまで、私の心の片隅にずっと居座り続けることになる。
私は、どうすればよかったんだろう、と。
『女性学』を受講して、この人に聞いてみようと思った
大学に行ってよかったことの一つは、ジェンダーについて学ぶ機会をいただけたことです。
内容は、同性愛の方の恋愛や彼らの事実婚の実情(女性寄りのトピックが多かった)等、大変興味深いものでした。
私は、この講師の方にどうしても聞きたいことがありました。
他でもない、エミッチのことです。
どのように対応すればいいか分からず、結果として彼女を傷つけてしまったことを、ずーっと考えていました。
授業終了後、この悩みを講師の方に打ち明けた際、タガが外れたように急に涙が溢れてきてしまいました。今まで誰にも話せなかった、この悩み。
講師の方は、びっくりすることもなく、優しく応えてくださいました。
「彼女はあなたのことが好きだったのね。異性として。その気持ちは本物だったんじゃないかしら。だからあなたも彼女の思いに応えて、真っ直ぐに、返事をすればよかったのよ。
『私も、あなたのことが好きだけれども、友達として好きなんだよ。私の恋愛の対象は男性だから、お付き合いはできないよ。』
ってね。突然のことで対応できなかったかもしれないけど、相手もあなたと同じ人間なのよ。あなたが異性に恋をするのと一緒なの。
どう?簡単でしょ?」
確かに・・・
私が男性に恋をするのと一緒だ。
私は、ちゃんと返事をしてあげればよかったんだ。
「エミッチの事は好きだけど、友達として好きだよ。だからキスはできない。」って。
どうすればいいか分からなくなって、顔も見れなくなってしまって、傷つけてしまったのは、私が未熟だったからだ。
エミッチ、ごめんね。ちゃんと伝えられなくて。
こゆきの独り言
大学生になり、スーパーでアルバイトをしていました。ロッカールームで着替えていると、
「あれ!?こゆきちゃん!?」
呼ばれて振り向くとそこには、エミッチが立っていました。
「あれ!?もしかしてこのスーパーでバイトしているの?」
部署が違うため、アルバイトをして数ヶ月経っても、なかなか出会わなかったようです。一瞬、キャンプでの出来事が頭をよぎりましたが、そこには笑顔でフランクに接してくれるエミッチがいました。
白い帽子、マスク、エプロンを取ったエミッチは、美しい少年といった容姿で、ショートヘアにピアス、パンツスタイルで決めていました。
(ボーイッシュというより、ボーイだな・・・やっぱり同性が好きだったのかな?)
10分程度、漫画やアニメの話で盛り上がった所で、
「こゆきちゃん、今度うちに遊びにきてよ。」と。
え、、、誘われると思わなかったのでギョッとしましたが、今の私なら大丈夫だし、エミッチともっと話したいなと思っていたので、後日伺うことにしました。
エミッチの家はスーパーのすぐ裏で、学生時代何回も遊びに行ったことがあります。エミッチのお母さんを笑わせて、3人でお茶を飲んだ記憶があります。
エミッチの部屋で将来のことや今頑張っていることなどについて話をして、2〜3時間ほど部屋で過ごした頃、なんとなく「帰ろう」アンテナが働き、私は帰ることにしました。
それ以来誘われることもなく、時々顔を合わせては挨拶をする程度でした。
まさか、また会えるなんてね〜。
















